
色覚異常には主に次の3つの種類があり、それぞれ色の見え方や生活に与える影響が異なります。
- 赤緑色覚異常
- 青黄色覚異常
- 完全色覚異常
いずれも赤、緑、青の色を感知する目の網膜の錐体(すいたい)細胞が光の波長を処理できないために起こります。
色覚異常は、錐体細胞の機能不全によって色の識別が困難になる状態です。さまざまな種類がが存在し、正常な色覚を持つ人からの誤解や、あまり知られていない事実も多くあります。
色覚異常に関する理解を深めるために、その特徴について詳しく見ていきましょう。
色覚異常を認識するのは簡単ではない
色覚異常の認識は、一般的な想像よりも難しいケースがあります。
色覚異常の多くは生まれつきで、自覚していない場合が多いです。そのため、幼い頃に色の判別に困難を感じていても、失読症に似た学習障害と間違われることがあります。

偏食になりやすい
色覚異常があると、食品が食欲が湧かない色に見えることがあり、偏食になりやすいです。たとえば、ピーナッツバターが緑色に見える人もいます。
色覚異常の人は、特定の食品が熟しているか、完全に調理されているかの判断が困難です。バナナやトマトは熟していると味が劇的に変わりますが、色覚異常の人は色の判別ができないため、食べごろを見分けられません。
同様に、肉が生焼けだったことにより一度でも嫌な思いをすると、その食品を避け続ける傾向があります。色覚異常の人は、肉が完全に加熱されたかどうか判断するのが難しく、調理をするのは危険です。

完全に色覚を失った人は非常に少ない
色覚異常の人のうち、完全に色覚がない状態の人はあまりいません。世界がモノクロに見える色覚異常の人はとても少なく、特定の色のみが見えにくい色覚異常が一般的です。

遺伝だけが要因ではない
色覚異常はすべて遺伝が原因であると考える人は多くいます。色覚異常になる要因は遺伝がもっとも一般的ですが、眼疾患、老化、眼の損傷などによっても生じる可能性があります。

職業上の制限がある
日本をはじめいくつかの国では、一部の職業において色覚異常者の雇用に制限があります。たとえば、運転士やパイロットは色覚検査を求められたり、自衛隊員の入隊は色覚による制限があるケースがあります。また、電気技師、エンジニア、医師などの職業でも、色を判別する能力が求められるため行動が制限される場合があります。

片目でも色が見える
色覚異常の人でも、片方の目がフルカラーで世界を見られる場合があります。片方の目は正常な色覚で、もう片方の目には色覚異常がある状態です。これは「片眼性色覚異常」と呼ばれ、非常に珍しいケースです。

X染色体が要因
色覚異常はX染色体の遺伝子変異に起因することが多く、女性よりも男性に多く見られます。これは女性は2つのX染色体、男性はX染色体とY染色体を1つずつ持つためです。
女性が色覚異常になる場合、X染色体の両方が変異する必要があります。一方、男性の場合は1つのX染色体に変異があると色覚異常を発症します。
女性は男性よりも色覚異常を発症する割合が低いものの、保因者として色覚異常の遺伝子を男性の子どもに受け継ぐ可能性があります。

すべての赤ちゃんは色覚が認識できない
すべての赤ちゃんは生まれたとき、白黒で世界を見ています。しかし多くの場合、色覚は赤ちゃんが生後4カ月から6カ月の間に発達し、色を認識するようになります。

犬は色覚異常がある
犬は世界を白黒で見ているとよく誤解されています。犬は人間でいう2色覚異常に似た状態があり、青と黄色は見えますが、赤や緑などの他の色は判別できません。

石原式色覚異常検査
「石原式色覚異常検査」は、色覚異常の診断でもっとも一般的な検査の1つです。この検査ではカラフルな点で円形を作り、円の中央に別の色で数字を描いた検査用紙を使用します。

円の中に描かれた数字を判別できるかどうかで、色覚異常を検査します。
この検査が世界でより広く認知されるツールになる前は、陸上自衛隊によってのみ使用されていました。
運転が難しい
色覚異常のある人にとって、運転が難しく感じる場合があります。日本では、自動車運転免許は、色覚異常があってもほとんど問題なく取ることができます(2025年4月現在)。しかし、たとえば、ルーマニアなど一部の国では、色覚異常のある人は運転免許を取得できません。
標識は主に記号で情報を処理しますが、信号は色によって判断します。色覚異常の人は、赤と黄色の信号の違いを見分けるのは困難であり、緑の信号も白く見えることがあります。

虹は数色しか見えない
正常な色覚を持つ人は、虹のすべての色を見られますが、色覚異常の人が識別できる虹の色はわずかです。

オンラインで色覚異常検査を受けられる
眼科医の診察を受けられない場合でも、オンラインで色覚検査を受けられます。色覚異常があるかどうか、どの色覚異常の種類かの判別が可能です。

治療法はない
現在、色覚異常を治す方法はありませんが、色覚異常に対処する方法はあります。色覚補助サングラス、通常のメガネ、コンタクトレンズは、色覚異常の人の見え方をサポートします。
これらのメガネとレンズは、光のフィルタリングを使用して色の鮮やかさと深みを高め、色を区別しやすくします。

おわりに
色覚異常には、さまざまな種類の症状があります。色覚異常の治療法はまだ分かっていませんが、運転能力、学習障害の誤診、偏食など、色覚異常者の生活にどのように影響しているかは分かっています。色覚異常を経験しないと知らない事実もたくさんあるでしょう。
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