石原式色覚異常検査を理解しよう
子どものイメージ

色覚異常は、日本では男性の20人に1人、女性の500人に1人の割合で見られます。

色覚異常には「先天性」と「後天性」の2種類があります。先天性色覚異常は遺伝によって起こり、生まれつき色の識別がしにくい状態です。一方、後天性色覚異常は何らかの疾患が原因となって発症します。

遺伝による場合、多くの人は自分の色覚が一般的な状態と異なることに気づかずに生活しています。そのため自身の色覚を把握するためには、検査を受けることが大切です。

視力に関する検査方法はたくさんありますが、色覚異常の検査として最も一般的なのは「石原式色覚異常検査」です。どのような検査なのか、解説します。

石原忍博士により考案された検査

石原式色覚異常検査は、東京大学の眼科教授であった石原忍博士によって1917年に考案されました。この検査は陸軍兵士の視力を調べる目的で開発され、当初は日本語版が2種類、アラビア語版が1種類の、合計3種類の検査が存在しました。

次第にアラビア語で書かれた第3版が世界で広く使用されるようになり、その後も改良を重ねながら現在の石原式色覚異常検査の形になりました。

石原式色覚異常検査を理解しよう

石原式色覚検査図のイメージ

視力検査を受けた経験がある人の中には、「石原式色覚異常検査」を目にしたことがある方もいらっしゃるでしょう。

この検査では、38枚の番号付きプレートを使用します。各プレートには、色や大きさの異なる丸がモザイク状に並べられており、その中に数字が描かれています。数字は1色または2色で描かれ、背景には別の1〜2色が使用されています。色の組み合わせによって数字が浮き上がって見える仕組みです。

検査を受けるときは、プレートに表示された数字を識別できるかどうかが問われます。正常な色覚の人であれば、すべての数字を問題なく識別できるでしょう。一方で、色覚異常のある人はそのタイプによって、異なる数字に見えたり、まったく見えなかったりします。

このように、石原式色覚異常検査は色覚異常の有無を確認するだけでなく、異常のタイプを見分けるのにも役立ちます。

プレートの種類

前述のとおり、石原式色覚異常検査では色覚異常の識別と診断のために38種類のプレートが使用されます。ただし、すべてのプレートが同じ役割を担っているわけではありません。

この検査では、色覚異常をより正確に特定・診断するために、次の6つの分類に分けられたプレートが用いられています。

▼プレートの種類と特徴

プレートの種類特徴
石原表1類表(デモンストレーション)・すべての種類の色覚異常者が識別できる数字が表示されたプレート
・プレートには通常「12」の数字が表示され、検査を受ける人に検査内容を説明する例として使用する
・このプレートは検査の採点や診断には影響しない
石原表2類表(変化型)・色覚異常の人と正常な色覚の人で、描かれた数字が異なって見えるプレート
石原表3類表(消失型)・正常な色覚の人だけが数字を判別できるプレート
・色覚異常者には数字が見えない
石原表4類表(隠蔽型)・色覚異常者のみ数字が見えるプレート
・石原表3類表(消失型)の反対
石原表5類表(分類型)・色覚異常の種類と重症度を診断するためにのプレート
曲線表・数字を識別するのではなく、円の中の線をなぞって色覚を判別するプレート
・赤緑色覚異常の人は赤とオレンジや、濃淡が異なる線をなぞるのが困難な可能性がある
石原式色覚検査図のイメージ

検査の必要性と検査が可能な場所

眼科検査のイメージ

色覚異常があっても、多くの場合は日常生活に大きな支障がないため、視力のように定期的な検査を受ける必要はありません。しかし、一度も色覚異常の検査を受けたことがない場合は、自分では気づいていないだけという可能性もあるため、検査をおすすめします。

色の見え方に違和感がある場合は、色覚異常の可能性があります。その場合、眼科にて「石原式検査プレート」を用いた簡易検査を受けることで、色覚異常の有無を短時間で確認できます。

また、最近ではオンラインで利用できる石原式色覚異常検査も登場しています。オンライン検査では、デジタル化されたプレートを見て数字を判別し、答えを入力することで色覚の状態を確認します。

「Pilestone」でも無料のオンラインテストをご用意しています。自宅で手軽に色覚を検査できるので、検査を受けたことがない人はぜひご利用ください。

色覚異常の治療法

カラフルな洋服のイメージ

現在のところ、色覚異常に対する根本的な治療法はありません。多くの色覚異常者は日常生活にほとんど支障なく過ごしていますが、服の色合わせが不自然になったり、配線ケーブルの色を見間違えたりするといったマイナートラブルが起こることがあります。色覚異常の人のなかにはこうした日常での見間違いを防ぐために、衣類や学用品、仕事道具など色の種類が多いものにラベルを貼るなどの工夫をしている方もいます。

また、色覚サポートメガネも有効な解決策のひとつです。色覚サポートメガネは、色覚異常を持つ方が混同しやすい特定の光の波長を除去します。そうすることで、色の区別ができるようになり、より鮮明で自然な色を認識できるようになります。

現在、色覚異常を持つ人が利用できる補助ツールとしては、この色覚サポートメガネがもっとも実用的かつ効果的な選択肢といえるでしょう。

おわりに

カラフルな服の男性のイメージ

色覚異常にはさまざまな程度や種類があり、自分の色覚異常に気づかずに過ごしている人も少なくありません。

石原忍博士が考案した「石原式色覚異常検査」は、色覚異常の診断において広く用いられている方法のひとつです。この検査を目にしたことがある人は多いものの、仕組みについては詳細には知られていません。色分けされたプレートを用いる独自の手法で色覚異常の種類を判別し、的確に診断できます。

色覚異常の治療法はないものの、色覚サポートメガネで色覚異常をサポートすることが可能です。ぜひ「Pilestone 色サポグラス」をチェックして、あなたが見ている景色をより鮮やかなものにしてください。